2025年2月2日(日)於 田中誠司舞踏スタジオ

L夫人舞踏公演「詩鳴かむ山ぞ」を観劇。これを観劇っていうのか?遭遇?目撃?何?
L夫人とは2018年に出会った。出会った日もL夫人は踊っていた。第一印象は「少女のように柔らかな女性」。首筋から指先までのラインの美しいひと。見た目の年齢と放つ雰囲気のギャップに惹きつけられた。L夫人を含む3人のダンサーの共演だったが、L夫人は「受け」の人だと思った。ほかの二人を柔らかく受け止め、それが身体の形になっているように見えた。その半年後、私が企画した舞踏公演でL夫人は裏方をしてくださったが、スタッフワークに身を置いているL夫人もきれいな空気の流れている人だった。
 そんな出会いから7年、今、目の前で蠢いている白塗りの老女は誰なのか?何か汚ないものを身体に巻きつけられている。昔、縁日で売られていた、どぎつい色に着色されて売られていたひよこの記憶が蘇った。蛍光灯の下で、カラフルなひよこは望んでいない運命を塗りつけられていた。今、目の前のL夫人にもそんな悲しさを感じた。しかし、L夫人は逞しくて、軽やかだった。どんどん脱ぎ捨てて、どんどん新しい服を身につけて、また脱いで…を繰り返した。最初に巻きついていたものはいつの間にか外れていた。いつからだろう。私はL夫人と周囲の空間が揺れて見え始めた。目の異変?何?と考える間もなく、今度は涙が流れ出した。目の前で生き続けるL夫人に限りなく、自分の心臓が接近しているのをを感じた。そして終幕直前、L夫人はニカッと笑ったのだ。そこで私の涙腺は完全に崩壊した。涙はいつまでも湧き出てきて、私は客席から立つことが出来なくなった。